Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

oddという単語をスムーズに訳せますか(左右バラバラの靴下で、いじめに反対する意思表示)

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今回の実例はTwitterから。

11月12日、Twitterの画面を見てみたら、UKで#OddSocksDayというハッシュタグがTrendsに入っていた。

"odd" という単語は、日常で頻出の単語だが意味範囲が広く、なおかつ日本語ではぴったり対応する語がないので、日本語を母語として英語を学んで身に着ける私たちにとっては非常にやりづらい語だ。だがこのハッシュタグでの "Odd socks" という使い方は、具体例としてとてもよい。私もoddという単語を最初に知ったときに、この例で習いたかった……と思うくらいによい例である。

早速実例を見てみよう。 "Odd socks" とはこういう状態のことだ。

 

つまり、 "odd socks" とは「片方ずつ違っている靴下」のこと*1

これでoddという語は、「対のものが、対になっていない状態」、つまり「片方(ずつ)しかない状態」を言う、ということがおわかりになるだろう。

だがoddという語について、この《意味》だけを覚えていても、受験でも実用英語でも、たぶんほとんど役に立たない。

ここで辞書を見てみよう。

 手元にある『ジーニアス英和辞典(第5版)』では、大きく分けて、「奇妙な」「臨時の」「雑多な」「片方の」「奇数の」「余分の」と6つの語義が掲載されている(1461ページ)。 

ジーニアス英和辞典 第5版

ジーニアス英和辞典 第5版

 

 「奇妙な」「臨時の」「雑多な」「片方の」「奇数の」「余分の」……何か全然バラバラなような印象を受けないだろうか。「片方の」と「奇妙な」は、まあ何となくわからなくもない。「片方の」と「奇数の」も、2つ(で1ペア)のものの片方なら奇数だからなあ、と考えれば納得はできるかもしれない。しかし「奇妙な」と「奇数の」が並べられていると「???」となってしまうだろう。そこに「臨時の」が加わればなおさらだ。

そういうときは原義を見ると腑に落ちることがあるが、『ジーニアス』に掲載されている原義は: 

原義: 葉の鋭い先端→三角形の頂点→奇数

……何も解決しない! わけがわからない!

 

こういうときに便利なのが、英単語の語義をイメージ(図像)で解説してくれる辞典だ。手元にある『図解 英単語イメージ辞典』(大修館書店)を見てみよう。英単語のイメージをつかめる図(イラスト)と原義、例文で構成された「読む辞典」だ。

[図解]英単語イメージ辞典

[図解]英単語イメージ辞典

 

 Oddは501ページに掲載されている。これによると、原義は: 

原義は〈余り〉である。余り→はみ出し→(偏り、傾き)→勝ち目、勝率

最後の「勝ち目、勝率」は名詞としてのoddで、これは日本語でも賭け事の用語で「オッズ」というカタカナ語になっている(高校生は知らないかもしれないが)。

この「原義」に、球体の一部が出っ張っているような図が添えられている。説明がヘタで申し訳ないが、マンガで描かれるたんこぶのような状態の図だ……「いらすとや」さんでイラストを探してみよう……あった。こういう感じ*2

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この男の子の頭全体から見て、たんこぶ(出っ張った部分)が "odd" というイメージをつかんでいただきたい。

このイラストだけに引っ張られるのもよくないので(「たんこぶはoddである」と言いたいわけではない)別な説明をすると、何か枠内を塗っていてはみ出してしまった部分とか、紙を2つに折ったときにきれいに合わせることができずにはみ出してしまった部分とか……そんな感じのイメージだ。

全体の形がぐにゃんと歪んでしまうのではなく、全体としては整っているのだけど、1か所だけ飛び出してしまっている、という感じ。

これを抽象化すると、「基本の通り、いつも通り」という全体の型からはみ出した「基本通りではない部分、いつも通りではない部分」といった感じ、お約束通りに進まない、お約束通りに対処できない、という感じになる。これを《原義》として頭にいれてしまおう。

 

これが数学方面にいくと、「きれいに割り切れない部分」、つまり(割り算での)「余り」となり、そこから「2で割れない、1が余ってしまう数」、すなわち「奇数」の意味になる。

一方、「いつも机の上の小物入れに自転車の鍵を入れてあるのに、それが見当たらない」といった場合に「おかしいな、ここに入れてあるはずなのに」という気持ちを表すには、That's odd. と言う。

ここまでの説明についてこられたら、今度は辞書の例文をひとつひとつ読んでいってもらいたい。かなり納得しながら読めるはずだ。

 

さて、このoddが人間について用いられることもある。行動などが周りと違う人は、an odd personと呼ばれる(こともある)。

そういうoddな人は、学校ではいじめの標的になりやすい。

そこで、#OddSocksDayである。これは、「靴下はodd (片方ずつバラバラ) でも問題ないのだから、誰かがoddでも問題ない」という理屈(というよりダジャレに近いかもしれない)で、みんなで片方ずつバラバラの靴下を履いてきて、そのことを確認しよう、という英国(ひょっとしたらイングランドウェールズ)での学校の取り組みだ。

全国の小学校で、児童や教師たちが片方ずつばらばらの靴下を履き、このキャンペーンに賛同する地方議会議員や公務員も片方ずつばらばらの靴下を履いた写真をアップして、意思表示した。

 

このキャンペーンの先頭に立っているのは、Andy and the Odd Socksというバンドのようだ。彼らはCBBC(BBCの子供向けチャンネル)の番組に出ているバンドで、実際に小学校を回ってライヴをやったりもしているようだ。日本だったら「歌のおにいさん」のような人がやるのだろうが、そこでロックバンド*3が出てくるのは、ロック・ミュージックが産業として確立していて重要な輸出品でもあるイギリスらしいといえばイギリスらしい。

#OddSocksDayに彼らが訪れた小学校での様子のビデオ。それにしてもみなのりのりである。 

 

話をoddという単語に戻すが、試験でよくある「次の4つの選択肢のうち、ほかの3つと性質が異なるものを選びなさい」みたいな問題を、(Find) the Odd One Outという。「パイナップル、りんご、ペン、みかん」だったら「ペン」がodd oneだし、「ねこ、いぬ、きつね、パイナップル」だったら「パイナップル」がodd oneだ。

こういうゲームを、英語圏の子供たちは幼稚園くらいのときにたくさんやっている。学習絵本としてまとまった形で見ることができるので、見てみるとけっこう楽しい。 

Odd One Out Book: A Fun & Cute Animals Spot The Difference Book For Kids Aged 2-5 Year's Old (Kindergarten & Toddlers Activity Book).

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Find the Odd One Out Game: A Fun Guessing Game for 2-5 Year Olds

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The Odd One Out: A Fun Picture Guessing Game for 2-5 year olds

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Odd One Out Fall Edition: A Search And Find Puzzle Book | Fun & Interactive Picture Book for Preschoolers & Toddlers Spot the Difference Game (Ages 2-5)

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Twitter @jlloydPM02357

 追記: oddという単語について

via 

threadreaderapp.com

 

*1:日本語でも「片方ずつ違っている」など回りくどく言わずに一言で済ませられる表現もあるのだが、現代の感覚では、残念ながらあまり使いたくないような表現である

*2:イラスト出典: https://www.irasutoya.com/2015/11/blog-post_519.html これを一部加工

*3:サイトにアップされているビデオなどを見ると、ギタリストはなかなかの技巧派で速弾きを披露したりしているし、メンバーはみな複数の楽器をこなせるようだ。