今回の実例は、気候変動についての解説記事から。
今年(も)、日本は度重なる豪雨と台風に見舞われて、あちこちでひどい被害が出たが、そのような極端な天候 (extreme weather) は全地球規模で起きていて、イングランド北部では11月上旬から洪水(川の氾濫)が続いている。11月7日(木)には川の堤防が決壊して付近が冠水するということが起きていたのに、ボリス・ジョンソン首相が内閣の危機に際しての緊急会合(Cobraミーティング)を招集したのは週明けの11日(月)という安倍内閣もびっくりの遅さで、あからさまな北部軽視だと批判が出ている。ジョンソンは今選挙戦の真っ最中で全国各地をめぐり有権者と直接話をしているが、行く先々で有権者の怒りの言葉にさらされている*1。
"I'm not very happy about talking to you... you've not helped us"
— BBC Politics (@BBCPolitics) November 13, 2019
A member of the public refuses to speak to Boris Johnson on a visit to a flood-affected part of South Yorkshire
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同時期に、イタリアのヴェネツィア(ヴェニス)が冠水して大変なことになっている。こちらは雨が原因ではなく高潮。
高潮は毎年のことだが、ここまでひどくなったのは気候変動が原因(のひとつ)だと市長は述べている。ただし、もちろんというべきか原因は複合的なもので、市民にしてみれば、防波堤の建設が汚職のために進んでいないということが大きいという(気候変動は今すぐ人が何かしてどうこうということはおそらくないが、防波堤の建設は今すぐ人が動けば事態は変えられるわけで、そちらが重要視されるのは当然のことだ)。
一方オーストラリアでは未曽有の規模の森林火災(山火事)が起きているし、米カリフォルニア州も大変なことになっている。
今回実例として参照するのは、そういうことがあちこちで起き、日々のニュースとして流れてくる中で出た解説記事だ:
見出しとリード文とリンクで、ほぼ全部太字になっていて見づらい画面だが、キャプチャ画像の最初のパラグラフ(記事の書き出しの部分):
With homes under water in South Yorkshire, near record flooding in Venice, and burgeoning wildfires in Australia, many people are asking if and how climate change is connected to these extreme weather events.
太字で示した "with" は《付帯状況のwith》 で、文の主語と動詞は下線で示した部分である。
というわけでまずは付帯状況のwithの句を見てみよう。《等位接続詞》のandで3つのものがつながれていることに注目。
With homes under water in South Yorkshire, near record flooding in Venice, and burgeoning wildfires in Australia
《付帯状況のwith》は、後ろに名詞と形容詞などの組み合わせをとり、「~が…した状態で」という意味を表す。
Don't speak with your mouth full.
(口の中が[食べ物で]いっぱいの状態で話をしてはいけません)
ここでは、"with homes under water" は「家屋が冠水した状態で」、"(with) near record flooding in Venice" は「ヴェネツィアではほぼ記録的な浸水がある状態で」、そして "(with) burgeoning wildfires in Australia" は「オーストラリアでは次から次へと発生し広がっていく森林火災がある状態で」。burgeoningという単語は大学受験生には難易度が高すぎるが(もし入試に出てきたら語注がつけられるレベル)、この単語の意味がわからなくても、この-ing形が現在分詞で、単独で前からwildfiresという名詞を修飾しているという構造は見ただけでわかるようにしておきたい。
続いて主節の部分:
many people are asking if and how climate change is connected to these extreme weather events.
やや珍しく感じられるかもしれないが、ここではif節とhow節が同時にaskの目的語になっている。つまり「気候変動が、これらの極端な天候の出来事に関連しているのかどうか(if節)、および(関連しているとすれば)どのように関連しているのか(how節)」 という意味。
平易な言い方をすれば「こんなに異常気象ばかりがあちこちで起きているのは、やはり気候変動と関連があるのかなあ、どういうふうに関連してるのかなあ」ということを、多くの人々が疑問に思っている、という文である。
この記事はこのあと、その疑問に答えていくという形式で解説を行っている。
次回もこの同じ記事の少し下の方を見ていくことにしよう。
参考書: