Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

demandの目的語となるthat節内で使われる動詞の原形(COP26: 日本に「脱石炭」を求める声)

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

【おことわり】当ブログはAmazon.co.jpのアソシエイト・プログラムに参加しています。筆者が参照している参考書・辞書を例示する際、また記事の関連書籍などをご紹介する際、Amazon.co.jpのリンクを利用しています。

今回の実例は、Twitterから。

日本でも少しは報道されている通り、現在、英国のスコットランドグラスゴーで、第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26: United Nations Climate Change conference)が開催されている。会期は10月31日から11月12日の2週間だ。

COPという名称は、"Conference of the Parties (to the United Nations Framework Convention on Climate Change)" の略称で、国連の気候変動枠組条約の締約国による会議のこと。今回はそれが26回目になるので「COP26」という。COPは英語では「シー・オー・ピー」ではなくそのまま「コップ」と読む。こういうことを確認するには、今はYouTubeに公式チャンネルを開設している大手報道機関のニュースクリップを見るのが一番確実で早い。例えば下記BBCのクリップの開始1秒のところで、ニュースキャスターが、「COP」を(あえてカタカナにすれば)「コップ」と言っているのが確認できる(米語だと「カップ」に近い音に聞こえるかもしれない)。

www.youtube.com

日本は、なぜかこの会議にぶつけるようにして総選挙の日程を決め(10月31日投開票)、日本国首相はCOP26が開幕して少したってから現地入りしている状態で、日本語圏のニュースはCOP26が始まっても選挙の話と「野党共闘は失敗だった」というプロパガンダでもちきりだが(数字に表れている事実をふつうにみれば、「失敗だった」というのが誘導的な言説であることは明らかである)、開催国(議長国)英国の公共メディアであるBBC Newsのアプリ版は連日COP26をトップニュースの位置に置いている。下記のキャプチャ画像はまさに今、2021年11月5日17時ごろ(日本時間)のスクリーンショットだ。

f:id:nofrills:20211105170141j:plain

さて、今回のこのCOP26の焦点のひとつが「脱石炭」である。それについては既に日本語でも多く伝えられている(が、総選挙の後の話に埋もれがちである)。例えばJETROが「ビジネス短信」を出しているのが、世界の動向を把握するには手っ取り早い: 

www.jetro.go.jp

このJETROの「ビジネス短信」に名前が出ていない日本はどうかというと、NHKにこのような報道が出ている(5日早朝のタイムスタンプ: archiveおよびはてブ): 

www3.nhk.or.jp

このNHKの記事でも、「COP26で石炭火力発電への対応が焦点となる中、会場周辺では4日、日本政府に石炭火力発電をやめるよう求めるデモが行われました」というふうに触れられているが、会場周辺では日本に対する「脱石炭」の呼びかけが行われている。実はこれはCOP26が始まってからの話ではなく、この夏以降Twitterでは葛飾北斎の絵をベースにしたポスターを掲げた人の画像などを目にするようになっていたのだが、今回、英文法の実例として見るような形で、大手通信社(ブルームバーグ)が長い映像クリップで伝えたのは初めてではないかと思う。

というわけで、今回の実例: 

ツイートに入っている映像は英語で、音声になっていることは全部字幕 (subtitle, closed caption) で表示されるので、言っていることの把握は問題なくできるだろう。話し手は日本語母語話者で、英語も「日本訛り」だから、「このくらいしゃべれればいいな」という心理的な目安のように見ておくとよいかもしれない。今年のノーベル物理学賞を受けた真鍋淑郎さん(日本国籍を放棄して米国籍を取得しているが、日本語母語話者で、英語は「日本訛り」である)の話す英語と同じように。

英文法の実例としてみるのは、ツイート本文から。

Protesters dressed in giant life-sized Pikachu costumes rallied outside of the #cop26 summit in Glasgow to demand that Japan phase out coal domestically by 2030

demandが目的語とするthat節の中が、現在形とか未来形(未来時制)でなく、《動詞の原形》になっている。

これについては、当ブログでは「orderなどに続くthat節内に現れる動詞の原形」というタグ(カテゴリー)で一覧できるようにしてあるが、demand, insistなどの「提案・勧告・要求」などを表す動詞に続くthat節の中では、《動詞の原形》が用いられる。  この《動詞の原形》は《仮定法現在》であるが、ときどき「その動詞の原形の前にはshouldが省略されている」という説明がなされることもあり、注意が必要だ。

単に英語を使えるようにしたい、実用レベルに持っていきたいという人は、もしも、この用語を見てわけがわかんなくなりそうだったら、さくっと「そういうもんっすか」と流して、「that節の中は動詞の原形(だから、主語が三人称単数でも3単現のsはつけないし、be動詞のときはisではなくbeを使う)」ということだけを確実に覚えておくようにしてほしい。文法用語が出てくると自分がわけわかんなくなるからといって、文法を呪詛する必要はないし、呪詛している間に覚えたほうが生産的だ。

 

※2500字

 

 

 

 

 

当ブログはAmazon.co.jpのアソシエイト・プログラムに参加しています。筆者が参照している参考書・辞書を例示する際、また記事の関連書籍などをご紹介する際、Amazon.co.jpのリンクを利用しています。