Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

証明書・通知・通告の書式 (this is to do ~), 同格のthat, 挿入, either A or B, 婉曲のcouldなど(ネット情報の真偽チェック #ファクトチェック )

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今回も、前回と同じ記事から。背景情報に関しては、前回、何が本題だかわからないくらいたっぷりと文字数を費やして説明してあるので、そちらをご参照のほど。

そこで説明した件、つまり(トランプ流の幼稚な表現である「フェイクニュース」というより)現場を混乱させるという目的での政治的意図のあるニセ情報 (disinfo) は現在進行中で、Twitter上では極右白人優越主義勢力が彼らに対抗するAntifa勢力になりすまして活動していたり(Twitterはそれらのアカウントをまとめてbanしている)、それについて詳報が出たりしている。

いわゆる「アラブの春」から9年が経過して、今Twitterなどを使っている人の中には2011年のあの激動の中でTwitterでどんなことが展開されたかを知らない人も多いのではないかと思うが、Twitterは短い言葉を添えて視覚情報(写真、映像・動画)を簡単に多くの人に伝達できるがゆえに、いろいろと悪用されうる。どういう悪用がありうるかについて、そろそろ当時の記録を掘り起こしておく必要があると思っている(が、なかなかそこまで手が回らない)。例えば下記の「デマ写真」は、F1大会という重要なイベントをどうしても開催し続けたいバーレーンで、民主化要求運動のデモに対して治安当局の暴力(実弾発砲など)が行使され、世界的に非難されていたときに、バーレーン政府が流した「デマ写真」の一例である (via https://twitter.com/nofrills/status/39149509367959552 )。

twitpic.com

※Twitpicというのは、2011年当時、画像アップロード機能がついていなかったTwitterのユーザーがみんな使っていた外部サイトで、今はサービスを停止している。最後はTwitter社が買収し、Twitpicにアップした画像はURLさえわかれば表示はさせられるようになっているが(それもユーザーが声を上げなかったら危なかった)、ページとしての表示は当時のような形ではできなくなっている。何にせよ、記録さえしておけば後からでも掘り起こせることが大半なので、今何か記録しておきたいと思った人は、何でも記録しておくとよい。

 

さて、記事はこちら: 

www.bbc.com

この記事、昨日見たあとに大幅に加筆されて分量が増えているが、昨日見た部分は記事の下の方に追いやられているものの消えていないので、記事の画面をスクロールダウンして確認してほしい。今日見る部分もかなり下の方に行ってしまっているが、"Rumours about foreign countries" の小見出しのセクション。

小見出しと、下記のようなとんでもない説が流されていることを指摘したあとで、BBCのこの記事はそういう説の現物(Twitterの投稿)を「証拠がない(裏付けられていない)」というフレーズを付けたうえでキャプチャ画像で示し、さらに解説を続けている。

Claims have circulated online about Russia's involvement in the protests.

Viral tweets with thousands of shares suggest that Russia was involved in George Floyd's death - as part of a military operation or an elaborate plot. There is no evidence to support these claims. 

f:id:nofrills:20200603114956p:plain

2020年6月1日, BBC News

This isn't to rule out the idea that Russia or other countries - either through state media outlets or networks of fake accounts - could be involved in stoking tensions online.

書き出し、太字で示した "This isn't to do ~" は、ぱっと見は《be + to不定詞》に見えるかもしれないが、実はそうではないと説明される。普通に英語を使えるようになりたいということで英語を学んでいる人はあまり突っ込んで考える必要はないと思うが、例えば『ロイヤル英文法』ではこれについて「証明書の書式」と解説している(p. 487)。

証明書に用いる決まった形式に、This is to certify that ... という言い方があるが,これは上の be to の形ではなく、to以下は目的を表すとみるのがふつうである。

 This is to certify that the above named has served in this company for three years. 

(引用注: 対訳は略) 

 

私個人の感覚では「証明書の書式」というより「通知・通告の書式」なのだが (This letter is to inform you that ... みたいなのをよく見る)  いずれにせよ「これは…をお知らせする(ための)ものである」の定型文であることに違いはない。

今回の実例は「証明書」や「通知・通告」ではないが、構文としては同じで、 "This isn't to rule out the idea that ..." の主語、"This" は、「上で述べたこと」の意味で、ここでは「ジョージ・フロイドさん殺害に抗議するデモにはロシアが関与しているという主張には証拠がないということ」。

rule out ~は「~を除外する、~の可能性はないと断言する」の意味で、"the idea that ..." のthatは《同格》で「…という考え」。

したがって、「ジョージ・フロイドさん殺害に抗議するデモにはロシアが関与しているという主張には証拠がないということは、…という考えを除外するものではない」と解釈される。

 

ではその《同格》のthat節を見てみよう。

... the idea that Russia or other countries - either through state media outlets or networks of fake accounts - could be involved in stoking tensions online.

やや長いが、主述は太字で示した部分。つまり「ロシアあるいは他の国々がかかわっている可能性がある(という考え)」。

この主語「ロシアあるいは他の国々」に対する補足が、ハイフンで挟む形で挿入されている。

その挿入句の中に、《either A or B》が含まれている。つまり「国営報道機関を通して、あるいは偽のアカウントのネットワークを通して」。

ここまでまとめると、「ロシアあるいは他の国々が、国営報道機関を通して、あるいは偽のアカウントのネットワークを通して、かかわっている可能性がある(という考え)」となる。

そして、述語の "could be involved" のcouldは《婉曲のcould》と呼ばれるもので、元は仮定法だ。断言することを避けて、やんわりと「~かもしれない」的な形で何かを述べるときに用いられるが、ここは「可能性がある(可能性がないわけではない)」と解釈してよいだろう。

最後、"in stoking tensions online" は《前置詞+動名詞》の形。stokeは大学受験では出てこないような単語だが、「火をたく」とか「燃料をくべる」といった意味。実際にはstoke tensions, stoke fearなど社会情勢に関してよく見る語で、原義が転用されて「~を煽る」といった意味になっている。

というわけでこの節は、「ロシアあるいは他の国々が、国営報道機関を通して、あるいは偽のアカウントのネットワークを通して、オンラインで緊張を煽ることにかかわっている可能性がある(という考え)」という意味になる。

 

BBCの言っていることは、「ロシアなどが今のあの騒乱にかかわっているという証拠はないが、だからといって、ネット上で煽動に関わっている可能性もないというわけではない」ということで、行間を読ませるタイプの記述である。

 

参考書: 

下記、一田和樹さんのご著書(角川新書)は、このトピックについて日本語で読める手軽な形式の本としては非常に優れている。「フェイクニュース」を「情報の受け手の問題」に限定してはならないということがよくわかると思う。

フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器 (角川新書)
 

 

 

英文法解説

英文法解説

 

  


前回、つまり昨日は予約投稿の日付を間違えていたので、定刻(毎日12:30)に投稿されておらず、失礼しました。以後気を付けます。