Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【ボキャビル】that being said (独立分詞構文), 《数》の表現を含む英文読解 (ジョン・ボルトンの更迭/辞任)【再掲】

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このエントリは、2019年9月にアップしたものの再掲である。報道機関のサイトにあるライヴ・ブログ、つまり速報性重視の文面で、さっと読んでぱっとわかるように書かれている文章。そういうところでどういう表現が使われているのかに注目してみよう。

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今回の実例は、11日未明(日本時間)のびっくりニュースから。

つまり、この件。ジョン・ボルトンがトランプ政権を追われた: 

 すぐさま、原油価格が断崖絶壁とアメリカからの報告: 

トランプ政権側は「クビにした」ということを言っているが、ボルトン自身は「自分が申し出た」と言っており: 

 実際どうなのかは微妙なところで、私がほぼずっと見ている英語媒体の2つも、BBCは「ボルトン自身が申し出て辞任した」説をとり、ガーディアンは「トランプがクビにした」説を取っている。

というわけで、今回の実例はそのガーディアンlive blogから、英国時間で18:47のエントリより(日本との時差は8時間):

https://www.theguardian.com/us-news/live/2019/sep/10/trump-news-today-latest-economy-north-carolina-republicans-live?page=with:block-5d77e0c38f08143ee1ae3ca2#block-5d77e0c38f08143ee1ae3ca2

※Live blogは刻々と見出し(ヘッドライン)が変わってしまい、いつもの形式で「ヘッドラインとサムネ画像」が表示されるようにしてここに埋め込むと、ぱっと見、わけがわからなくなってしまうため、URLだけ貼り付けておきます。上記URLをクリックして記事、というかエントリをご確認ください。

 

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2019年9月11日、The Guardian

キャプチャ画像の一番下のセクション: 

That being said, Trump has had three national security advisers since taking office, and Barack Obama had the same number over two terms. George W. Bush only had two over his eight years in office. 

書き出しの "that being said" は、with that being saidやthat saidという形になることもあるが、教科書には出てこないかもしれないが実際の日常の英語では非常によく使う表現のひとつ。日本語にすれば、場面によって「~というわけで」とか「~とはいうものの」とか「以上のことを踏まえて」などとなるが、要は話の流れを作るための「間つなぎ」の一言である。Wiktionaryでは、howeverとかneverthelessと同義という主旨の説明がある。

この表現、「熟語」として認識し記憶しておけば何かと役立つのだが、文法的に解説すれば《独立分詞構文》である。

  I don't always agree with Tom. That being said, he is a brilliant analyst. 

  (個人的にはトムとは意見が違うこともあるのだが、それはそれとして、彼はすばらしいアナリストだよ)

これは、実際の英語としては「書き換え」などすることはないのだが、次のように考えられる。

  I don't always agree with Tom. After that is said, he is a brilliant analyst. 

この after の節を分詞構文にすると、主節の主語 (he) とは異なる主語 (that) なのでそれを残して、isを現在分詞にする、ということになり、つまり That being said という形になるわけだ。

この表現は非常によく用いられる。Twitterで検索すると次のようなものが見つかる(たまたま目にしたわかりやすい例として参照するだけで、議論をしたいわけではありません。念のため)。

旭日旗は占領で用いられてさえいませんでした。被占領地で日本が使っていたのは、現在の日本国旗でした。下記の写真は左は朝鮮(半島)、右は中国のものです。以上を踏まえて言えることは、旭日旗が物議をかもすということは、最近の現象だということです」といった意味。

 

With that being saidの形は、その独立分詞構文で《付帯状況のwith》がついた形。何時も参照している江川の英文法では下記の例文が出ている(348ページ)。

With darkness closing in, the rescue party decided to break off the search. 

(暗闇が迫ってきたので、救助隊は捜索を一時中止にした)  

英文法解説

英文法解説

 

これも非常によく使われる形で、 "with that being said" でTwitter検索すると、例えば次のような例が見つかる。

 「新しいiPhoneはあのカメラのレンズやら何やらががっちゃがちゃで見た目がすさまじいことになっているのだが、なんだかんだ言って、買うことになるんだな、これが」といった意味。

 

一方、"that said" という形は、that being saidのbeingが省略されたもので、理屈としては、過去分詞で始まる分詞構文と同じである。

これの実例は、なかなか検索しづらいのだが*1、下記のような例が見つかった。

これはChris Hayes氏の発言を受けて、Quinta Jurecic氏が「そうではあるが、注目を集めるような(ドローンによる)攻撃は、私が見落としでもしていない限りは、(最近)そんなに多くなされていないということも事実だ」と述べている文例。

 

実例として見た文のこのあとの部分: 

Trump has had three national security advisers since taking office, and Barack Obama had the same number over two terms. George W. Bush only had two over his eight years in office.

これは素直にそのまま読めばよいが、《数》の表現に注意が必要かもしれない。実際に仕事などで英語を使うには、この文をいちいち読み返さずに、というかこの文章が音読されるのを一度聞いただけで、「2期続いたバラク・オバマ政権下で国家安全保障担当大統領補佐官は何人いたか」が答えられるようにしておきたいところである。

 

わかるだろうか。

答えは: 

Trump has had three national security advisers since taking office, and Barack Obama had the same number over two terms.

 

ちなみに、この記述が正しいかどうか、ファクトチェックすることも簡単にできる。「国家安全保障担当補佐官」をウィキペディアで確認すればよい。

ja.wikipedia.org

 

基本の参考書:  

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

 
英文法解説

英文法解説

 

 

*1:"with that said" も検索結果としてヒットしてしまうし、「関係代名詞のthatとsaid」のような全然別の文法項目の例も多いので、目視で選別して拾う必要がある。

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