Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【再掲】感情の原因・理由を表すthat節, O+S+Vの形の文, 等位接続詞が作る構造, 疑問詞節(ジョコヴィッチのCOVID-19感染)

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

このエントリは、2020年6月にアップしたものの再掲である。

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今回も、前回の関連で、テニスのノヴァク・ジョコヴィッチのCOVID-19感染について。

前回は感染判明を受けてのニック・キリオスの発言を見たが、今回はジョコヴィッチ本人の発言を見てみよう。

Twitterに長文をアップしたいときに、自分のブログとかサイトとかに書いた文章へのリンクを貼るのではなく、手元のテキストエディタなどで書いたもののスクリーンショット(スクショ、キャプチャ画像)を画像として投稿するということは、日本語圏だけでなく英語圏でも広く行われている。基本的に、リンクというものは、はっておいたところでクリックされるものではないので(10年ほど前だが、自分のブログでどのリンクが何度クリックされたかわかるウェブサービスを利用していたときに確認されたのは、記事中のリンクがクリックされるのは100回閲覧されて1回から数回程度に過ぎない、ということである)、スクリーンショットで見せてしまえ、というのは効率的で効果的なやり方だが、画面に表示された文字や画像を見て情報を得るということをしておらず、読み上げソフト(アプリ)を使って音声にした上で情報を得ている人々(目の不自由な人々)のことを考えれば、テキストをただ画像にしてアップするというやり方はあまり好ましいものではない。できればこちらのような手順で、画像に「説明」(ALT属性)を付け加えて投稿したい。(この話については本稿の最後にも付け加える。)ただ、ジョコヴィッチのこのツイートはALT属性なしで投稿されている。

そういう場合に使えるのが、画像のテキストを読み取って文字に変換してくれるサービスだ。例えば、Online OCR が登録不要・無料で、jpeg画像やPDFなどからテキストを抽出してくれるので、今回は(画像を見ながら手でタイプし直してもたいした分量ではないのだが、煩雑なことは煩雑なので)それを使ってみよう。

www.onlineocr.net

ジョコヴィッチのメッセージ全文は下記: 

Hi everyone - We're back in Belgrade and I've tested positive for COVID-19 as well as Jelena. The kids have tested negative. We will remain in self-isolation for the next 14 days and repeat the test in 5 days.

I am so deeply sorry our tournament has caused harm. Everything the organizers and I did the past month, we did with a pure heart and sincere intentions. We believed the tournament met all health protocols and the health of our region seemed in good condition to finally unite people for philanthropic reasons. We were wrong and it was too soon. I can't express enough how sorry I am for this and every case of infection. 

If you attended Adria Tour or were around any attendees please get tested and practice social distancing. For those in Belgrade and Zadar, we will be sharing health resources in the immediate future. The rest of the tournament has been canceled and we will remain focused on all those who have been affected. I pray for everyone's full recovery.

語数・文字数をカウントすると、173 words 976 charactersであることが確認できる*1Twitterで連続投稿しても4投稿で収まる分量だ(Twitterはアルファベットでは280文字まで投稿でみる)。大学受験生なら苦痛を感じずに読める分量だろう。

では、この文で使われている文法項目をいくつか見てみよう。まず第2パラグラフの最初の文: 

I am so deeply sorry our tournament has caused harm.

これは《感情の原因・理由を表すthat節》のthatが省略されている。それを補ってみると: 

I am so deeply sorry that our tournament has caused harm.

下線で示した "so" は「たいへんに」の意味(veryの類義語)。"cause harm" は「害をなす」の意味で、大学の入試問題では語法を問う問題でけっこう頻出である(causeのところが空所になっていて、「適する動詞を選択肢から1つ選べ」というパターンで出題される。知らなかったら勘に頼るしかないが知っていれば100%得点できる)。

この文は「私たちのトーナメントが害をなし、私はたいへんに深く申し訳なく思っています」と直訳される。

 

次の文がちょっと「?」となるかもしれない: 

Everything the organizers and I did the past month, we did with a pure heart and sincere intentions.

これは下線で示した部分が文の目的語で、本来なら次のように動詞の後ろに置かれるべきところ、言いたいことをはっきりさせるため(強調のため)、また文の自然さのために文頭に来ていると考えてよい。

We did everything the organizers and I did the past month with a pure heart and sincere intentions.

このように、《S+V+O》の語順が《O+S+V》となった形(目的語が前に出た形)は、《倒置》と扱われることもあることはあるのだが、当ブログでは「《倒置》とはS+VがV+Sの順になること」と考えるようにしているので、O+S+Vを《倒置》とは位置付けないでおく(ただしタグは、参照性をかんがみて、「倒置」も設定しておこう)。

下線を引いた部分では《関係代名詞》の省略があるのでそれを補うと: 

Everything that the organizers and I did the past month

 「この1か月、大会のオーガナイザーと私がしたことすべて」という意味。

つまり文意は、「この1か月、大会のオーガナイザーと私がしたことすべては、純粋な気持ちと誠実な意図をもってやってきたことです」となる。意図的に感染を広げようとしたわけではない、ということだ。

 

次の文: 

We believed the tournament met all health protocols and the health of our region seemed in good condition to finally unite people for philanthropic reasons.

ここは《等位接続詞》のandによる接続を正確に読まねばならない。andのあとが "the health of our region seemed in good condition" という文であることから、このandは前にある "We believed the tournament met all health protocols" という文と、後にある文をつなぐ、《文 and 文》の構造を作っていることが読み解けるかどうかが重要だ。

下線で示した "to finally unite" は、"to unite" という不定詞の中に、"finally" という副詞が入り込んだ《分割不定詞》の形。これについては既に解説は書いてあるので過去記事を参照してもらいたい。このto不定詞は《副詞的用法》か、直前のconditionにかかる《形容詞的用法》か、どちらでも解釈できると思うが、ここでは前者の解釈をとろう。

文意は「大会はすべての保健上のプロトコル(約束事)を満たしていると私たちは信じていたし、(長くに及んでいる移動制限などの後で)ようやく人々を、善意での社会貢献活動という理由で結びつけるためには、私たちの(=この)地域はよい状態にあるように見えました」。

ジョコヴィッチのこの大会はセルビアクロアチアで行われたが、この地域は新型コロナウイルスに関しては、実際に、西ヨーロッパ各国に比べれば、ずっとましな状況だった。そういったことはウィキペディアの英語版で調べられる。

en.wikipedia.org

en.wikipedia.org

 

次の文: 

We were wrong and it was too soon.

"We were wrong" は、自分たちの非を認める率直な表現だ。つまり、上で見たように「善意でやった」「信じていた」的なことを述べているのは、言い訳や弁解ではなく事態の説明のためで、それを受けてここでジョコヴィッチは「私たちは間違っていた」と全面的に非を認めている。

この文のandも上で見たのと同じく文と文をつなぐ役割で、「私たちは間違っていたし、まだあまりに早すぎました(時期尚早でした)」。

 

最後: 

I can't express enough how sorry I am for this and every case of infection. 

この文も謝罪文の定型表現だが、使いたいときに使えるように覚えておきたい表現である。"I can't express enough" は「~を十分に表現することができない」、つまり「~はことばにしきれない」といった意味。英語的な発想の表現なので、慣れてないと難しいかもしれない。

太字で示した "how sorry I am" の部分は《疑問詞節》で「いかに私が申し訳ないと思っているか」。

下線で示した "sorry for ~" は「~について済まなく思う」で、「このことについて、およびすべての感染事例について、いかに私が済まなく思っているかを、私は十分に言い表すことができません」という意味の文。

この "this" の内容が曖昧だが、「間違った判断のもとに大会を開催してしまったこと」と読むのが妥当だろう。

 

最後のパラグラフは特に解説が必要なポイントも見当たらないので(あえて言えば "The rest of the tournament has been canceled" の《現在完了の受動態》くらいか)、この文はここまで。

感染が判明したテニス・プレイヤーのみなさんや関係者のみなさんのご快復を願っています。

 

f:id:nofrills:20200629114209j:plain

https://twitter.com/DjokerNole/status/1275493253375238144

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https://twitter.com/DjokerNole/status/1275493253375238144

参考書:  

英文法解説

英文法解説

 

 

Twitterの画像のALT属性指定については下記参照。連ツイしたものを1ページで表示させてある: 

threadreaderapp.com

 

ただしiOSアプリでは、この時点ではその機能がなかったみたい。

 

 

*1:今日のエントリの文字数上限4000字から、この976文字は除外することにする。