Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

省略、使役動詞make(グレタさん、無事ニューヨークに到着)

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

昨日こちらを休載して本家ブログに書いた件で鍵となっていたのは《省略》だが、今回はその《省略》について。

《省略》は、一般に広く用いられている文法書では最後のほうにあり、学校英語でも最後の方、つまり高校2年生の後半で習うことがほとんどなのだが、これを知らないと相手の言っていることが正しく理解できないということが実用英語では頻発する、非常に重要な文法項目である。

昨日の件では、口語表現での主語の省略というけっこうめんどくさいこと(つまり、英語にあまり慣れていない人は好き勝手に解釈してしまいがちなこと)が、英語を使い慣れていない人々*1の間で混乱を招いたように思えるのだが、実際、《省略》をしっかり教わったことがある人のほうが少ないのではないかと思う。私自身、受け身の学習ではちゃんと習った記憶がない*2

当ブログでは、省略構文については《省略》というタグをつけて一覧できるようにしてあるので、そちらもご参照されたい。「省略」といってもいろいろあるのだが、たくさんの実例に接してどういうものなのかを知っていっていただければと思う。

 

前置きはここまで。今回の記事はこちら: 

www.bbc.co.uk

 

f:id:nofrills:20190830041502j:plain

2019年8月28日、BBC News

When asked if she could make US President Donald Trump listen she answered with a simple "no".

 

省略

この部分で何がどう《省略》されているか、わかるだろうか。

《省略》を補うと、次のようになる。

When she was asked if she could make US President Donald Trump listen she answered with a simple "no".

whenからlistenまでが《時》を表す副詞節で、ここではその副詞節内が《主語+be動詞》の形になっており、なおかつその主語が主節 (she answered with a simple "no") の主語 (she) と一致しているので、《主語+be動詞》ごと省略されている。

この《省略》のルールは、普通に使う文法書や文法の問題集で言及していないものはないくらいメジャーなルールで、絶対に覚えておきたい。ちなみに私がよく参照している江川の英文法ではpp. 403-404において説明されている。 

英文法解説

英文法解説

 

 

使役動詞make

When she was asked if she could make US President Donald Trump listen she answered with a simple "no".

この部分には、《省略》のほかにもう1つ、大きな文法項目が入っている。それが《使役動詞のmake + O + 原形不定詞》「Oに(強制的に)~させる」で、ここではOはUS President Donald Trump, 原形不定詞はlistenである。

 

というわけで、ここまでこの部分をまとめて全体の文意を考えると、「米大統領ドナルド・トランプに耳を傾けさせることができるかどうかを尋ねられたとき、彼女はシンプルな『ノー』という言葉で答えた」となる。

 

この記事がニューヨーク到着を伝えているグレタ・トゥーンベリさん (Greta Thungerg) はスウェーデンの高校生にして全世界的に有名な環境保護活動家である。彼女は昨年8月、欧州を襲った熱波による被害が生じる中、たった一人で学校を休んでスウェーデン国会前で座り込みを始めた。日本だったら「脅威」として排除されていたかもしれないが、彼女の座り込みは続き、やがて彼女の行動は全世界的に(日本はどうだか知らんけど)「環境保護への取り組みを訴えての、学生たちの学校ストライキ」という形で波及していった。この活動については、当ブログでは、今年3月のエントリで軽くだが触れてはいる

※彼女はスウェーデン人で、母語スウェーデン語だが、このくらいの英語は普通に書ける。これが世界標準、できて当たり前のレベルである。日本語圏でこんな英語を使っていたら「英語ができることをひけらかしている」と非難され、叩かれるだろうけど。

 

グレタさんはその活動を続けるうえでさまざまな逆風にもさらされつつ、この夏はゼロ・エミッション(二酸化炭素排出ゼロ)のヨットで大西洋を横断して欧州から米国に渡るという航海を実施、膿が荒れていたため予定より少し時間はかかったが、今回無事に目的地の米ニューヨークに到着した、というのが、この記事の報道内容だ。

彼女は航海の様子を毎日Twitterなどで発信してきた。

 

 

 

 

 

 

ニューヨークで彼女は国連の気候変動サミットに出席する。国連もその彼女を歓迎している。

 

 

もちろん、というか残念ながら、というべきか、すべての人が彼女の取り組みを支持してるわけではない。英国のBrexit推進陣営の超大口資金提供者であるアーロン・バンクスは、グレタさんがプリマスを出港したあと、「8月はヨット事故が起きるよねえ」的なことをTwitterで発言し、各方面から批判を浴びた。

※上は米NBCで仕事をしている英国のジャーナリストのツイートだが、アーロン・バンクスには身内(Brexit過激派)からも批判があった

 

グレタさんの国連サミットでの発言や活動は、またニュースとなって伝えられるだろう。日本語圏ではどうか知らないが、英語メディアは必ず伝える。BBCなどをチェックしておきたい。

 

No One Is Too Small to Make a Difference

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Greta's Story: The Schoolgirl Who Went on Strike to Save the Planet (English Edition)

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Our House Is on Fire: Greta Thunberg's Call to Save the Planet (English Edition)

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*1:ご本人たちは「英語を使い慣れていない」などと言われると不本意かもしれないが、私から見れば、どう考えても、"Just left" を「左翼」とするのは、英語を使い慣れている人の解釈ではない。ほんとにありえない。

*2:個人的な話だが、私は中学3年になってから「このままでは自分の目指しているあたりでは入れる高校がないかもしれない」という危機的な状況に直面して英語を何とかしなければと思い、学校の先生に相談して、個人的に日記をつけてみてもらうということをした。このときに《主語の省略》というルールを教えてもらったのだが、この「日記を書く」という勉強法、自分がその日何をしたかを英語で書くという勉強法によって、可も不可もない程度だった英語が試験での得点源となり、都立の入試では満点を取ることができた。当時はこのような「個人的な補習」は先生の裁量でいろいろと行われていたし、受験雑誌などでも「学校の先生に相談してみよう」的に勧められていたのだが、先生にとっては通常業務外だっただろう。このときのH先生には、今も感謝しかない。