Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【英文読解】ノーベル物理学賞の報道

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今回は、いつもとは趣向を変えて、「英文読解」をしよう。読んでいただく英文は特に難しくない。センター試験の長文問題と同じくらいの難易度だ。

【問題】次のキャプチャ画像の英文を1度だけ読み、下記の問1~2に答えなさい。(記事の2度読み、読み返しはしないように努めてください。)

※PCで画像の表示サイズが小さすぎて読みづらければ、クリックで原寸表示されます。

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【問1】今さっき読んだ英文を見ずにこの問いに答えてください。ノーベル物理学賞を受賞したJames Peebles, Michel Mayor, Didier Quelozの国籍は、この記事に書いてありましたか?

【問2】今さっき読んだ英文を見ずにこの問いに答えてください。今年のノーベル物理学賞は、どのような分野・どのような研究について与えられましたか? 簡単に、一読して把握できた範囲でよいので答えてください。

---以上。

 

 

この記事をこのブログでとりあげることにしたのは、8日午後7時(日本時間)、今年のノーベル物理学賞受賞者が発表されたすぐあとの日本語と英語の報道の比較をTwitterでした結果、単にTwitterに置いておくのではなくブログに書いたほうがよいだろうなと思ったため。Twitterである程度の反応があったためだ。

8日午後7時すぎ、台風のニュースをチェックしようとウェブでNHKのサイトを見たときにノーベル物理学賞の速報記事が出ていた。それをクリックしたときに私の目に飛び込んできた速報段階の記事は、次のようなものだった。

ことしのノーベル物理学賞に、アメリカとスイスとイギリスの大学の研究者3人が選ばれました。日本の研究者の受賞はなりませんでした。

 

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もちろんこれは速報段階のもので、このあとでどんどん情報は足されていく。

それにしても、第一報の段階で、どの分野での研究だったのかを言う前に、「日本人」云々を言うというのは、いったい何なのだろうか? 特に物理学は、一口に「物理学」といっても研究対象は多岐にわたる。例えば電気抵抗の研究もあれば素粒子の研究もある。細かいことはあとでもいいから、がっさりと、どの研究分野なのかは第一報で知らせるのが当然のことだ。だが、日本の報道ではそういう情報は与えようとしない。ひたすら「日本人」「日本人」である。(同じように「日本人」「日本人」言うのでも、その前に一言、「今年の受賞者は宇宙分野の研究者」ということが書かれていればまだよかった。それすらないからおかしいのだ。)

一方、日本以外の報道はというと、たまたま私がその場でチェックできたのがいつものガーディアンとBBCなのだが、それぞれ次のようになっていた。 

と、ここでこのBBC記事の中身である。 

私がこの記事を見てこう書いたあとで記事がアップデートされて書き換わってしまっているので、私が見た時点の記事をキャプチャ画像で示し、2つの問いを提示した。こういった記事は一度読んだら内容が頭に入るように書かれているものだし、この記事も例外ではないので、「読み返し・見返しをしない」という条件を科したが、設問が平易なので、厳しい条件とは感じられなかったはずだ。実際、現行のセンター試験の長文問題では、このくらいの英文が出題されていて、時間のわりに量が多いので読み返しなどしているヒマなく問題を解いているはずである。

 

 

【問1】ノーベル物理学賞を受賞したJames Peebles, Michel Mayor, Didier Quelozの国籍は、この記事に書いてありましたか? →【答え】いいえ

 

【問2】今年のノーベル物理学賞は、どのような分野・どのような研究について与えられましたか? 簡単に、一読して把握できた範囲でよいので答えてください。→【答え】宇宙についての研究(宇宙の成り立ち・進化についての研究、遠く離れた恒星の発見、などやや詳し目に答えることももちろん可能)

 

繰り返しになるが、「宇宙についての研究が受賞した」ということよりも「日本人が受賞しなかった」ことを優先する日本の報道は、とてもおかしな報道である。

そもそも科学の研究ではその学者の国籍などよりも、その学者の研究環境(つまり所属機関)のほうがよほど重要だ。

 

 

上で見たキャプチャ画像の記事が、少し時間を経たあとで少し更新された段階のものが、Web Archiveにある。関心がある人は、それも合わせてみてみるとよいだろう。 

 

この2段階の記事の読み比べを手軽にしたいという方には、キャプチャ画像での比較がわかりやすいかもしれない。

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もっとよく見たい方は: 

http://f.hatena.ne.jp/nofrills/20191009053056

http://f.hatena.ne.jp/nofrills/20191009053120

 

ちなみにガーディアンの、live blogではなくちゃんと1本の記事として書かれた記事はこちら: 

www.theguardian.com

 

 

※このノーベル賞報道について、「報道はかくあるべき」的なご意見などを投稿したい場合は、報道機関に直接寄せていただくか、私にコメントしたい場合はここのコメント欄にお願いします(私のTwitterのリプライではなく)。

 

※次回は毎度おなじみ仮定法。