このエントリは、今年4月にアップロードしたものの再掲である。2019年の10大ニュースに入るような火災について、火災発生時の報道記事を見ているが、この火災自体についてその後わかったことについてアップデートはしていないので、その点、お含みおきいただきたいと思う。
------------------------------
今回の実例は、日本時間で今日未明に「速報」で飛び込んできたフランス、パリのノートルダム大聖堂*1の火災のニュースから。
この大聖堂は中世に起源をもつ建物で、燃えている最中は「800年の歴史が失われる」という悲鳴がTwitter上の英語圏を覆っていた。だがメインの構造物は持ちこたえたと消防当局が発表しているし、鎮火した時点でメディアに出ている写真などで確認できる限り、建物の内部への延焼も食い止められているようだ(消防隊のGJ)。
実際、建物自体は石造だが、屋根が木造で、激しく燃えていたのはその木造の構造物だった。高熱にさらされた大聖堂の真ん中らへんにある尖塔(19世紀の大規模修復の際に復元されたもので、「中世からずっとそこにあるもの」ではない)はかなり早い段階で崩落したが、その下の建物自体は残った。
そのことを前提に、今回の実例の部分を見ていこう。
記事はこちら:
consider + O + to do ~, 完了不定詞, to不定詞の受動態
“We consider the two towers of Notre Dame to have been saved,” the Paris fire-service commander Jean-Claude Galler said at around 11pm, as firefighters were still working to contain flames.
下線で示した部分は、《consider + O + to do ~》の形で、最後のto不定詞の部分が完了不定詞で受動態になっている。
《consider + O + to do ~》は「Oを~だ(~している)と考える」の意味。
I consider Jimi Hendrix to be the greatest guitarist ever.
(私は、ジミ・ヘンドリクスのことを、史上最高のギタリストだと考えている)
《to不定詞の受動態》は、受動態の《be + 過去分詞》のbeがto beの形になるので、《to be + 過去分詞》となる。
今回はそのto不定詞が《完了不定詞》になり、《to have been + 過去分詞》という形になっている。完了不定詞は主節の一つ前の《時》を表すために用いられるのが基本だが、ここでは現在完了の代わりと考えられる。
つまり、下記のようにthat節で書き直すことができるだろう(that節内の時制が《過去》ではなく《現在完了》)。
We consider the two towers of Notre Dame to have been saved
= We consider that the two towers of Notre Dame have been saved
接続詞のas
上記の文の後半部分:
as firefighters were still working to contain flames
このasは《時》を表す《接続詞のas》で、主節と従属節の出来事が同時に進行していることを示す。この場合、消防士たちがまだ鎮火にあたっている間に、消防隊の偉い人が「2つの塔は救われたと考えている」と発表したわけだ。
stop ~ from -ingの受け身の形
続いて同じパラグラフの少し後の方から:
it was a major accomplishment by hundreds of firefighters that the flames were stopped from spreading to the north tower belfry
太字で示した部分は、《stop ~ from -ing》が受け身(受動態)になった形。能動態に書き換えると:
the flames were stopped from spreading to the north tower belfry
= they stopped the flames from spreading to the north tower belfry
となる。「北側の塔の鐘楼にまで炎が広がることは、消防隊によって、食い止められた」という意味である。
このニュースは速報段階からTwitterでフォローしていたので、関心がある方は下記URLからログを参照されたい。リアルタイムで現場の映像が流れてくるのを見ているときは、かなり苦しかった。
https://twilog.org/nofrills/date-190416/asc
とはいえ、「石の文化」は強い。必ず復興されることと思う。
these photos are so haunting #NotreDameFire pic.twitter.com/zSyDbFBG3h
— scarlett (@scarlettonfilm) April 15, 2019
#NotreDameFire from the sky ... ✈️😔 pic.twitter.com/qW25sJrMiC
— ✈Monica-مونيكا✈️ (@vargasmoni) April 15, 2019
一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法(東進ブックス)
- 作者: 大西泰斗,ポール・マクベイ
- 出版社/メーカー: ナガセ
- 発売日: 2011/09/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 12人 クリック: 68回
- この商品を含むブログ (51件) を見る