Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

接続副詞howeverの実例集(音楽ストリーミングにネオナチ音楽, マスクの防御効果の学術論文, トランプ発言とSNS)

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

今回の実例は、やや変則的に複数。

「しかしながら」という長たらしい訳語をつけて覚えさせられる《接続副詞》のhoweverについては、当ブログではすでに何度か扱っている(カテゴリーをご参照いただきたい)。「しかしながら」系の接続詞と接続副詞について、極限まで単純化した例文を使って基本的なことを整理した2019年4月のエントリから抜粋すると:  

「しかしながら」という意味を表すhoweverは、接続詞ではなく《接続副詞》(接続詞のように使われる副詞)で、接続詞を使うときとは、文の作り方とコンマの使い方が異なる。構造がわかりやすいように単純化した例文を見てもらいたい(いずれも「雨天だが、暖かい」という意味)。

例文1: 等位接続詞butを使った表現。butの直前にコンマ。

   It’s wet, but it’s warm. 

 

例文2: 従位接続詞althoughを使った表現で、althoughの節を前置した形。

   Although it’s wet, it’s warm. 

 

例文3: 同じく従位接続詞althoughを使った表現で、althoughの節を後置した形。

    It’s warm(,) although it’s wet. 

 

例文4: 接続副詞howeverを使った表現。いったんピリオドで文を切り、Howeverは大文字で書き始め、直後にコンマを置く。
   It’s wet. However, it’s warm. 

 

例文5: 同じく、接続副詞howeverを使った表現だが、ピリオドの代わりにセミコロン (;) を使い、Howeverは小文字で書き始めて、直後にコンマを置く。(論文などで使える正式なスタイル)

   It's wet; however, it's warm.  

実際の接続副詞howeverの用法には、この「例文4」と「例文5」に加え、文中に入るというパターンもある。上記の例文では単純すぎてその形にするのが逆に不自然になってしまうので、少々例文を変えると: 

  Tom likes brocoli. His brother, however, dislikes it. 

  Tom likes brocoli. His brother dislikes it, however

  (トムはブロッコリーが好きだが、弟はブロッコリーが嫌いだ)

……とこのように、主語と述語動詞の間にコンマで挟んで入れたり、文末にコンマに続けて置いたりすることがある。さらに、この形についてもピリオドでなくセミコロンを使うこともある。つまり、下記の6つの形が可能だ。例文はこれじゃなくてもいいんだけど、この形は暗記しないと使えるようにならないから、暗記が必要である。

  Tom likes brocoli. However, his brother dislikes it. *1

  Tom likes brocoli; however, his brother dislikes it. 

  Tom likes brocoli. His brother, however, dislikes it. 

  Tom likes brocoli; his brother, however, dislikes it. 

  Tom likes brocoli. His brother dislikes it, however

  Tom likes brocoli; his brother dislikes it, however. 

自分で英文を書くときは、「セミコロンを使うのは学術論文など堅苦しい文のとき」と考えて、論文ならセミコロン、普通の文ならピリオドを使った形3種類からおさまりのよいように感じるもの*2を使うことになるわけだが、これらの形を使った実際の英文を見ておくことは、暗記する知識について納得したり、知識を定着させたりするうえで役立つだろう。今回は、そんな実例をご紹介したい。

目次: 

 

Tom likes brocoli. However, his brother dislikes it. の形

記事はこちら: 

www.bbc.com

特に東欧やロシアで盛んなネオナチ思想支持の音楽が、SpotifyApple Musicなどのストリーミング・サービスで流されているということについての調査報道記事である。調査の結果わかったことを記事の最初の方でまとめ、何が問題なのかを解説し、続いて関係各社(サービス提供業者)のコメントを取り、さらに詳しい解説と問題提起を行う、という形式の記事だ。

Howeverが入っているのは次の箇所、キャプチャ画像内3パラグラフ目で小見出しの下: 

f:id:nofrills:20201026161404j:plain

https://www.bbc.com/news/newsbeat-54613907

It's difficult to quantify the scale of the problem. However, the BBC investigation easily found at least 20 songs with disturbing content:

 「この問題の規模を量的に具体化することは難しい。しかしながら、BBCの調査では、内容的に問題のある楽曲が少なくとも20曲が簡単に見つけられた」という意味。

このHoweverの使い方は、報道記事ではごくごく一般的である。毎日英語の報道記事を見ていたら、必ず1日に1度は遭遇するといってよい。

 

Tom likes brocoli; however, his brother dislikes it. の形

今度はセミコロンを使ったパターン。これは学術論文から。記事はこちら: 

msphere.asm.org

この論文は、東京大学の医科学研究所の研究者たちが実験してまとめたもので、先日NHKのニュースになっていた。こちらの元論文は、そのNHKニュースの記事に対するはてなブックマークからたどった(ネット検索結果が「いかがでしたか」ブログとWebllio辞書のエントリに埋め尽くされる時代でも、こういうアカデミック寄りのニュースではやはりはてブにはそれなりの情報が集まる)。

学術論文では冒頭に、その論文の内容を手短にまとめたAbstractがあるが、セミコロンとhoweverが出てくるのはそのAbstractの最初の方である。

f:id:nofrills:20201026163334j:plain

https://msphere.asm.org/content/5/5/e00637-20.full (CC BY 4.0)

いろいろ正式名称が明記されていて長くなっているので、そこを少々短くしてみると:

Guidelines from the CDC and the WHO recommend the wearing of face masks to prevent the spread of COVID-19; however, the protective efficiency of such masks against airborne transmission of infectious SARS-CoV-2 droplets/aerosols is unknown.

「COVID-19感染拡大防止のため、顔を覆うマスクの着用がCDCやWHOのガイドラインで推奨されている。しかし、ウイルスを含む飛沫/エアロゾルの空気伝播に対するそのようなマスクの防御効果はわかっていない」という意味で、これは学術論文における問題提起の文。この論文はその点を検証した実験結果をまとめた論文である、という宣言である。忙しい研究者は、ジャーナル(学術誌)の最新号をまずざっと眺めて見るときに、Abstractの第一文を見て、そのAbstractをしっかり読むかどうか判断する。そのうえで、読む必要性があると考えれば、全文を読む。この論文も、その作業の流れに沿うように書かれている。

なお、東大医科学研究所のこの論文に含まれていた語句については、「(仮)パンデミックに関する英語表現集」にいくつか記載してあるので、そちらもご覧いただければと思う。

english-vocab-covid-19.memo.wiki

 

Tom likes brocoli. His brother, however, dislikes it. の形

今回の実例、最後のひとつは、主語と述語動詞の間にコンマで挟んでhoweverを入れるパターン。下記記事の見出しがその形になっている。

edition.cnn.com

f:id:nofrills:20201026172820j:plain

https://edition.cnn.com/2020/10/11/tech/twitter-flags-donald-trump-tweet-coronavirus/index.html

COVID-19に罹患したドナルド・トランプが「自分はもう免疫できたから大丈夫」ということをSNSで発言したが、この感染症は、一度かかればもうかからないということは立証されていない(むしろ、2度かかるケースの報告が複数ある)。だからこの発言は無根拠ということになるが、それについてTwitterは「デマ拡散注意」的な警告を表示するようにしたが、Facebookは何もしていない、ということを、howeverという接続副詞の持つ《対比》の効果ではっきり伝える見出しを、CNNはつけたわけだ。

 

こういった用語法は、具体例で覚えてしまうのがとても効率がよい。今回はこの3点だけで当ブログ規定の4000字に達したのでここまでとするが、また別な機会にほかの形(特に文末にある形)も見ていくことにしたい。

 

参考書:  

英文法解説

英文法解説

 

 

「しかしながら」の意味の接続副詞のHoweverの項目は、今どきの大学受験生向け学習英和辞典はどこもしっかり書いている。この項目が自分にとってわかりやすい説明かどうかで、どの辞書を買うかを選んでもいいだろう。

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*1:「Howeverで文を始めるべきではない」とする人もいないわけではないが、過激派と思っておいてよい。実際にはHoweverで始まる文は、後述の例のようなものを、毎日目にする。

*2:厳密にいえば、《However, 主語 述語》の形は、先行文の内容とhoweverの入った文の内容の対比をしたいときに使う形で、他方《主語, however, 述語》の形は、先行文の主語とhoweverの入った文の主語との対比にスポットライトが当たっている感じになる。