Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【再掲】前置詞+動名詞, 動名詞の意味上の主語, to不定詞の否定形, など(「反マスク」デモの続くアイルランドと、現場の医師)

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このエントリは、2020年9月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、医療の最前線の声を伝える報道記事から。

アイルランド共和国新型コロナウイルス感染拡大が、かなり心配な感じになってきている。一時はうまく抑制できている感じだったのだが、夏以降、どうもよくない。

アイルランドは、この2月の総選挙の結果、FFとFGの二大政党と第3党SFの3つの政党の議席数が拮抗し、どの党がその他の小政党と連立をしても議会の過半数に至らないというすさまじいことになったあとで、いろいろとすったもんだがありつつ、また同時にウイルス禍に見舞われつつ、最終的には、建国(というより英国からの独立と、その独立のしかたをめぐってその後起きた血みどろの内戦)以降、これまでずっと水と油の関係だった二大政党が大連立し、Green Partyも入って連立政権を組むという形になった。ウイルス禍が始まったときは、選挙で最大議席数を取ることができなかった前与党のFG政権が「ケア・テイカー内閣」として当面の政権を担当していたが、6月下旬にそのFGの内閣が退陣し、新たにFFとFGの連立政権が発足した。3月にセント・パトリックス・デーの行事中止を決定して以降、厳格な行動制限を導入して感染拡大抑制に努めたFG党首で医師のレオ・ヴァラッカー(ヴァラドカー)は首相から副首相兼産業大臣*1となり、FFのミホール・マーティン党首が首相となった。

だがこの新政権、どうにも頼りない。首相の人柄的なことだけでなく、新政権発足から2週間程度でFF所属の新任の閣僚(農業大臣)が4年前に飲酒運転で罰金刑を食らっていたことが発覚して罷免を余儀なくされたり、その後任となった閣僚(FF副党首でもある)や最高裁判事、欧州委員といったお偉いさんたちが、8月に、ウイルス禍による行動制限を無視して「国会ゴルフ同好会」主催のディナーに出席していたことが発覚して次々と辞任したりといったことが起きて、元々、有権者の信任を得ていたとは言い難いこの二大政党による、いわば急ごしらえの連立政権は、こんな重要な局面で、人々の信頼を得ているとはいいがたい状況にある。

それでも、普通に常識のある大人たちは、政治家がポンコツであるからといって政府が判断したウイルス対策の方針(すなわち人と人との間隔を十分にとることとか、マスクをすることとか、ウイルス禍以前のような人の移動を制限することとか、パブなどの営業に制限を設けることとか)がポンコツであるわけではないと知っている。パンデミックに関する政府の説明を疑ってはいない(方針のはっきりしないところに疑問の声を上げるなどはしているが)。そういった普通に常識のある大人を代表するのが、私の見ている画面の中ではあのジェドワードになってしまっているのは、ちょっとさすがに意味がわからないのだが、アイルランドだからそういうことが起きても不思議ではないと自分に言い聞かせている。 (・_・)

そのジェドワードが、明確に反対しているのが、夏以降継続的にダブリンで行われている「反マスク」デモである。米国での「反マスク」は日本でも広く知られているが、同様のことは米国以外でも起きていて、アイルランドでも数百人規模ではあるが週末になるとデモが行われている。先週は「反マスク」デモを批判する立場のメディアのオフィス前でメガホンを手にしたデモ隊リーダーが大演説をして、非常に不穏な空気が立ち込めている映像がTwitterで回覧されていた。ちなみに「反マスク」デモをやっているのは、アイルランドのここ最近の近代化(同性間の婚姻の実現、妊娠中絶の合法化)に強く反対してきたのと同じ保守勢力(宗教右派)や、ウイルスやワクチンに関する陰謀論を信じている人々である。

前置きが長くなったが、今回みる報道記事は、そのような「反マスク」デモに対する、医療の最前線という現場からのひとつの声についてのものだ。記事はこちら: 

www.irishtimes.com

ある病院で救急医として働くエリーシャ・ブレナンさんが、12時間勤務の間ずっとゴーグルとN95マスクと防護服を着けるという生活を8日間休みなしで続け、顔に青あざができていると、自身のソーシャルメディアのアカウントで発言したことを報じる記事である。上記記事のエンベッド部分で、ブレナンさんについての説明にある "Rose of Tralee" は、アイルランド南西部のケリー州のTraleeという町で毎年行われている美人コンテストの優勝者という意味で、彼女のTwitterアカウント名はそれにちなんでいる。

ブレナンさんの訴えは、「反マスク」の行動がウイルス感染を拡大させれば、医療従事者の顔はますますあざだらけになるということだ。

 

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https://www.irishtimes.com/news/health/doctor-posts-photo-of-bruised-face-from-ppe-in-response-to-anti-mask-campaign-1.4356410

キャプチャ画像一番上の行から始まっている文: 

I have turned off my news alerts because I cannot see one more story about people marching in their thousands to protest against wearing face masks.

《-ing形》が、太字にしたように2か所出てくるが、それぞれ動名詞か現在分詞か、判断できるだろうか。その判断の根拠を説明できるだろうか。

まず最初の-ing形である "marching" だが、これは《現在分詞》である。なぜかというと、これは先行の前置詞 "about" の目的語になっているから。"about" と "marching" の間にある "people" は、《動名詞の意味上の主語》だ。"story about people marching" で、直訳すれば「人々が行進する(している)ことについての話」という意味になる。

下線で示した "in their thousands" は前置詞と数を使った定型表現(熟語のようなもの)で、「何千という単位で」。これについては、辞書でinの項目を参照してみてほしい。私の手元にある『ジーニアス英和辞典』(第5版)では、inの項の14番目*2に挙げられている(1080ページ)。以前も述べたが、辞書というものは自分の知らない難しい単語の意味を調べるためだけでなく、こういった基本的な、中学1年生のときに習ったなというような単語を確認するためにある。

ジーニアス英和辞典 第5版

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  • 発売日: 2014/12/17
  • メディア: 単行本
 

 

次。2番目の-ing形の部分: 

to protest against wearing face masks

これは最初の-ing形よりもわかりやすいだろう。"against" が前置詞なので、この "wearing" は動名詞だ。

"to protest" は《to不定詞の副詞的用法》で《目的》を表している。また、protestは「抗議する」という意味だが、日本語で「デモをする」というときに英語で用いられることが多い語が、(日本語の「デモ」の元となっているdemonstrateではなく)このprotestという語である。したがってこの部分は、「マスクを着用することに反対してデモをするために」。

 

さて、そのあと1パラグラフ飛ばして次: 

Dr Brennan, who was the Rose of Tralee in 2015, said she took the photograph on Monday during the middle of her 12 hour shift after reading about the anti-mask protesters at the weekend and seeing footage of a DJ who claimed it was his constitutional right not to have to wear a mask.

この長い文にも《-ing形》が出てくる。太字で示した "reading" と "seeing" だが、これら2つは下線の "and" で繋がれていて、"after reading ... and seeing .." という構造になっている。afterは前置詞なのでこれらの-ing形も動名詞だ。「週末の反マスク・デモについて読み、~の映像を見たあとで」の意味。

そしてこの長い文の2か所に出てくる "who" (青字で示した)はどちらも《関係代名詞》で、1つ目はコンマを伴って固有名詞を後ろから説明(修飾)する《非制限用法》、2つ目はコンマなしで先行詞を説明する《制限(限定)用法》だ。

前者は言い足すような感じで「ブレナン医師は、2015年のローズ・オヴ・トラリーだが」とすればよい。

後者はもっとしっかり構築した感じで「~と主張するDJ(の映像を見た後で)」と訳出しよう。

そしてそのDJの主張内容だが: 

it was his constitutional right not to have to wear a mask.

朱字で示したのは《it is ~ to do --》の《形式主語》の構文で、ここではその《to do --》の部分が否定の形になっているので、《it is ~ not to do --》となっている。「--しないことが~だ」の意味である。

さらにここでは、《to do --》の部分に《have to do ~》が入って "to have to wear" と、やたらとto, to言ってるような形になっている。こういうのは落ち着いて構造を取らないと意味が正確に取れないし、焦って読むと「原文が間違っている(原文のタイプミスだ)」と間違った断定をしてしまいかねないので、とりわけ注意が必要である。

意味は「マスクを着用しなければならない (have to)」をnotで否定しているので、直訳すると「マスクを着用しなければならなくない」となって、日本語としてあまりに意味不明になるから、下線部和訳などでこういうのが出た場合は、それなりに工夫をする必要があるだろう。「マスク着用義務はない」など、意味を変えずに形だけ整えるための言い換えはできるようにしておいたほうがよい。

 

当ブログ規定の4000字を超えているので今回はここまで。

 

※4500字

 

参考書:  

英文法解説

英文法解説

 

 

 

 

 

*1:正式にはMinister for Enterprise, Trade and Employment

*2:こういうふうだから、ある程度の基礎力がある人が英語力の底固めをしたいという場合には、電子辞書より紙の辞書のほうが使いやすい。あるいはPCのブラウザやスマホタブレットの広い画面で確認できるアプリ版やウェブ版でもよいのだが。