Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

関係代名詞の非制限用法, if節のない仮定法, it is ~ for ... to do --, など(南アフリカ反アパルトヘイト闘争の闘士、デニス・ゴールドバーグ死去)

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今回の実例はTwitterから。

かつて、南アフリカでとられていた人種差別政策(アパルトヘイト政策)に反対し、武装抵抗運動の活動家としてネルソン・マンデラらとともに逮捕され、裁判の後に有罪となった唯一の「白人」であるデニス・ゴールドバーグ氏が、87歳で永眠した。

この訃報に、多くの人々が追悼の言葉をTwitterで書いている。

デニス・ゴールドバーグは1933年に南アフリカケープタウンに生まれた。両親はロンドン生まれで、デニスが生まれる前に南アに移住していたが、その親(デニスにとっては祖父母)は19世紀後半にリトアニアから英国に移住したユダヤ人だった……といったことはウィキペディアでわかるので、そちらでご確認いただきたい。

en.wikipedia.org

ゴールドバーグは晩年、芸術や文化を通じて人と人をつなぐための活動に取り組み、House of Hopeという施設を建設しようとしていた。この活動は、故人の遺志をついで続行されることになっており、ゴールドバーグへの弔意をここへの寄付という形で表すこともできる。

さて、今回実例として見るのは、このHouse of Hopeの活動について、2017年11月にオブザーヴァー紙(ガーディアン紙の日曜)でゴールドバーグ本人とインタビューを行ったジャーナリストのツイートである。

 

※以下、引用部分では原文(ツイート)の綴りの間違いを修正してある。

 

ツイートの最初の文: 

RIP Denis Goldberg, Rivonia trialist, anti-apartheid activist, who recognised evil and sacrificed so much personally to fight it, when it would have been so easy for him to look away.

下線で示した部分は《同格》の《挿入》で、デニス・ゴールドバーグについての説明である。「リヴォリア裁判の被告で、反アパルトヘイト闘争の活動家であったデニス・ゴールドバーグ」という意味だ。

太字で示した ", who" は、見ればわかるように《関係代名詞の非制限(継続)用法》で先行詞はDenis Goldberg. 「悪を認識し、それと闘うために個人的に非常に多くを犠牲にした人」の意味。"to fight" は《目的》を表す《to不定詞の副詞的用法》だ。

ここまでは、書かれている順番通りに読み下してくれば問題なく意味が取れているのではないかと思う。

 

その後のwhenの節が、ちょっとひっかかる人がいるかもしれない。

when it would have been so easy for him to look away.

まず、太字で示したのが《it is ~ for ... to do --》の形になっていることに最初から気づけたら、特に何も引っかからずにすらすらと読めるかもしれない。

さらに関門があるのだが、ここでは《it is ~ for ... to do --》の is が、《仮定法過去完了》の would have been になっている。これは《if節のない仮定法》で、if節の意味は "to look away" に込められている。

というわけで、このwhenの節全体では、「(実際には目を逸らしてはいなかったのだが)目を逸らすことが、彼にとって、とても簡単だったであろうときに」という意味になる。

 

デニス・ゴールドバーグは22年間を獄中で過ごしたあと1985年に釈放されたが、そのときはまだ南アフリカアパルトヘイト政策は終わっていなかったので、しばらく英国で過ごした。その後、1990年代にアパルトヘイト政権が崩壊したあと、2000年代に南アに戻り、晩年のHouse of Hopeにつながるような活動をしていくことになる。英国のメディアではチャンネル4も今回の訃報に際してかつてのインタビューをフィードしている(全部英語字幕が出るので、ここでも仮定法が使われていることに注意して聞いてみてほしい)。

 

 

「白人が黒人を虐げる」という構造の南アフリカアパルトヘイト体制の中で黒人の権利を主張しそのために活動した数少ない白人の中には、ゴールドバーグのようなユダヤ系の人が少なくなかった(ウィキペディアにリストがある)。ゴールドバーグは1985年の釈放後、すぐにイスラエル行きの飛行機に乗せられ、イスラエルで妻子と再会したが、イスラエルパレスチナに対して行っていることに強く反対していたのでイスラエルには落ち着かず、そのまま英国に亡命した。彼はANCのロンドン支部で活動し(と、後世の私たちがさらっと言うほど簡単なことではなかったはずだ。当時の英国政府はアパルトヘイトの南アを支持していたのだから)、南アの外からアパルトヘイト撤廃を求める声を集めていった。

その彼の活動が祖国に何をもたらすことになっていったかは、世界史の教科書にでも載っているだろう。

 

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2020年4月30日, Twitter @_EmmaGH

 

南アの対アパルトヘイト闘争と、そのシンボル的な存在であるネルソン・マンデラ、およびウォルター・シスルなどマンデラの同志たちについては、中学生でも読めるように易しく書かれた本だが、下記の評伝がとてもよい。

 

マンデラのことは映画でも知ることができるので、家で暇を持て余しているのなら、こういった映画を見てみるのもよいだろう。 

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参考書:  

英文法解説

英文法解説

 
ロイヤル英文法―徹底例解
 

 

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