Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

learn from ~という表現は、「~という選択肢からどれかを習う」という意味ではなく、「~を通じて学ぶ」という意味である。

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今回は、英語圏の英文に出てくる日本の学校英語(学習英文法)の実例ではなく、日本語圏で今話題になっている表現について。

ものすごく忙しいので、ソースとかは後でつけます(ソースをつける作業にかかる時間は、執筆時間と同じくらいです。書くのは早いので)。

「日本語圏で話題になっている」というのは、例の東京都が強行実施した中学3年生対象の自称*1「スピーキングテスト」、ESAT-Jの設問文に含まれていたため、ESAT-Jウォッチャーがこぞってツッコミを入れているのだが、そこにウォッチャー以外の人たちが現れてああだこうだという話をしているらしい。

ここで重要なのは、ESAT-Jウォッチャーの多くは学校の英語教諭だったり予備校や大学などの英語の講師だったり英語教材作成者だったりして、何らかの形で「その筋のプロ」である、ということだ。これらウォッチャーにとって、日本の「中学英語」とか「文科省認定教科書」とか「学習指導要領」とかいったものは、シェフにとっての鍋やまな板のようなものである。

で、それらのプロが「わかりきったこと」として話していることが、公開の場でそれを目にする非プロには、正直、通じていない。その通じていないところから発する素朴で正直な発言が、ご本人はそのつもりはないだろうがノイズとなって、その結果、全体的な議論を紛糾させるということは、トピックが何もESAT-Jでなくても、インターネットあるあるである。

今回はそこらへんを少しクリアにできればということで、私が知ってることを書く。ソースもつけないと検証可能性という点から不安なのだが、上述したようにそんな作業までやっていられないので、取り急ぎざっと書く。

なお、私個人はそのごちゃっとしたことになっているらしいネット上の、より正確にはTwitter上の議論を、あまりよく把握していない。年末で忙しいし、こないだイーロン・マスクにひどい目にあわされたのでTwitterはほとんど見ていないのだ。その点で何かこちらの不備・不足や失礼があるかもしれないが、ご海容願いたい。

議論になっている文は、12月18日(日)に実施されたESAT-Jの予備日試験の設問文に含まれていた下記の文である: 

At my school, we can choose to learn from many  foreign languages. 

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/content/files/esat-j/221218_mondai.pdf

文構造がもやっとしていて、何通りかの読み方が可能になった、いわゆる「(英語の)悪文」なのだが*2、私自身は、"we can choose to learn from many  foreign languages" は初見で次のように読んだ。

we can choose (to learn) from many  foreign languages

つまり、構造としては《choose from ~》「~から選ぶ」という構造を持った文だと判断した。だってそうじゃないと意味が取れないんだもん。

ただこの場合、"to learn" の位置が微妙で、たぶん後置するのが普通だと思う。次のように: 

we can choose from many  foreign languages to learn

うーん、これもなんかすっきりしないかもね……もっさりしているように感じられる。

ただ、"choose from * to learn" でウェブ検索すると、こういう文が見つかるから、別にもっさりした文ではないのかもしれない。多分私がハーコーなんだな……。

They can choose from almost ten languages to learn, including Latin.

What is Interest-Based Learning & Why Use It in Teaching Children

パッと見てどこの国で運営されているサイトかがわからないのだが(&突っ込んで調べている余裕が、精神的にも時間的にもない)、「ドル」が通貨単位の国で運営されている、子供を学校に通わせずに自宅で学習させる「ホーム・スクーリング」についてのサイトの記述である。つまり、いわゆる「ネイティブ」(英語母語話者)の記述と考えてよいだろう。

さて、今は "choose from * to learn" という、語順を入れ替えたフレーズで検索したのだが、これをESAT-Jの(たぶん限りなく間違いに近い)テクストの通り、 "choose to learn from *" の語順で検索するとどうなるか、というと、こうなる。

議論をほとんど追えていないのだが(すみません)、話が紛糾しているのは、少なくとも部分的には、「 "choose to learn from *" の語順は不自然で、"choose from * to learn" とするのが普通だ」という主張に対して、「"choose to learn from *" で検索してもネイティブの書いた文例が出てきますよ?」という反論が出されていることによる。

だが、ここで検索結果に出ている文例の "learn from ~" は、「~という選択肢の中から何かを選んで学ぶ」という意味ではないし、その文脈の用例でもない。

《learn from ~》は、そのまんま「~から学ぶ」なのだが、これは英語でも日本語でも意味することは同じで、もう少し具体的に言えば「~を通じて学ぶ」ということである。

私はこのフレーズは高校2年のときにReadingの教材で暗記した記憶があるのだが(確かボブ・グリーンか誰か、ポピュラーな書き手の文章だった)、そのときの文は "I learned from this experience." 「私はこの経験から学んだ」、「私はこの経験を通じて学んだ」というものだった。

その他、よく見る形としては、"I learned from my own mistakes." 「私は自分の間違いから(間違いを通じて)学んだ」という文がある。

【すみません、書きかけですがいったんここでアップ】

 

 

*1:問題を見たところ、一般的にいう「英語のスピーキング」の能力とは別なものを図っていると判断せざるを得ない。中学生が対象ということと、定型文の丸暗記などで対策されちゃわないようなまっとうな「スピーキング」の試験ということが、両立できていない。できていないっていうか、その両立は、たぶん無理だ。

*2:私はかつて仕事で、英語圏の有名な出版者が出している出版物を日本語化するという作業の準備で、「膨大な例文と対訳をチェックして、英文の構造があいまいなものを見つけたら編集者に知らせる」という作業をやったことがあるのだが、そのときにこういう文は知らせる対象になっていた。

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