Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

過去分詞の後置修飾, 「フェイク」を語るときの必須単語, BBC News系Twitterフィードの見方, など(フランス大統領選挙を前に出ている画像捏造系ネットデマ)

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今日は土曜日にもかかわらず再掲でない内容になる。

今週は、デマについてという、当ブログとしては中身はほとんどないにもかかわらず消耗だけはするトピックを扱い、それも文字数をやたらといっぱい使ったのでくたびれてしまって、昨日、金曜日のエントリを過去記事の再掲とさせていただいたので、今日はその代わり。というか、金曜日にこれをアップしようとしていたのだが、くたびれていてできなかった。

という次第である。

さて、明日4月24日は、フランスで大統領選挙の決選投票が行われる。

フランスの大統領選挙は、かなり大人数の立候補者がいるのが常である。そして、投票の結果、これら大勢の候補者のうちで過半数の得票を得たものがいない場合は、上位2人のどちらかを選ぶ決選投票が行われる。

今年の選挙では、第一回目の投票は4月10日に行われ、誰も過半数を取らなかったので、1位の現職エマニュエル・マクロン大統領と、2位のマリーヌ・ル=ペンの間で決選投票となっている。投票前の世論調査では、マクロン大統領がかなりリードしていると伝えられているが、結果はどうなるか、もちろん、わからない。

と、選挙概略みたいなのはウィキペディアでも見ていただくとして、今回扱うのは、この選挙を前にしてネット上の英語圏に出回っている誤情報/ミスインフォ/ディスインフォ/デマのことである。

日本語圏で「ウクライナでは鶴は不吉」というデマが流れる前のことだが、4月19日(火)の午後、私が見ている画面で、Twitterのサイドバーに "A fake image made to look like a BBC Tweet falsely attributed a quote to French President Emmanuel Macron, AP and Reuters report" というトピックが表示されていた。《過去分詞の後置修飾》があるので少し長くなった主語が、「BBCのツイートに似て見えるように作られた、偽物の画像」の意味。そのあと、"falsely"は「誤って、偽って」の意味の副詞で、動詞は "attributed" だ。"quote" は「引用(された言葉)」だが、こういうニュース系の文脈では「発言」という日本語が近い。

つまりこの文意は、「BBCのツイートに似せて捏造された画像が、ある発言をフランスのエマニュエル・マクロン大統領のものだとしているが、それは虚偽である、とAPとロイターが伝えている」ということになる。

 

APとロイターは、それぞれ、次の記事を出している。

apnews.com

www.reuters.com

ここでいったん、ここまでで見えた範囲だけで、語彙を整理しておこう。形容詞のfake, 動詞のfabricateは、完全に意味を把握していないと、今の世界、ニュースが読めないというレベルの基本単語である。fakeは「フェイク」というカタカナ語でなく、日本語で意味を把握しておくことが重要である。辞書をご参照いただきたい。

記事は、どちらも内容は同じだが、APの方が、ロイターよりも読みやすいスタイルになっている(最初に "CLAIM" として出回っている噂の内容を端的にまとめた文があり、続いて "AP’S ASSESSMENT" でAP通信が調べた結果を端的にまとめ、そのあとに "THE FACTS" として詳細が述べられている)。

さて、ここでAPとロイターが報じている「捏造画像」だが、確かにBBCのツイートそっくりに作られているのだが、普段からBBCのツイートを見ていれば一発で偽物とわかる。その点について、説明しておきたい。

こういうタイプの捏造画像は、これからも出回るだろうからだ。

今回報じられている「捏造画像」は、ロイター記事からリンクされているアーカイヴで確認したところ、次のようなものだ。

https://archive.ph/v0I1s

一見、 @BBCWorldの真正なツイートをキャプチャしてツイートしているように見える画像だが、これが捏造、真っ赤な偽物である。

@BBCWorldの本物のツイートは、下記のように表示される。

https://twitter.com/BBCWorld/status/1516107197775851526

違いがおわかりだろうか。

捏造画像と並べてみよう。左が捏造、右が本物である。

@BBCWorld(に限らず、BBC News系のニュースフィードのツイート)を見慣れていれば一目瞭然のクオリティだが、そうでなければひっかかるかもしれない。

図解すると、次のようになっている。

本物は、ツイート本文と、写真と記事見出し・リード文と、タイムスタンプ・投稿クライアント(投稿に用いられるソフトウエア)が表示されていて、写真と記事見出し・リード文のセクションが、角を丸くした四角い枠内(数、ピンクの枠組み)の中に納まっている。記事見出し・リード文のところはクリッカブルになっていて、ここをクリックすると記事に飛べるようになっている。

他方、偽物は、ツイート本文の下にある角を丸くした四角い枠内に入っているのは写真だけで、記事見出し・リード文はない。したがって、クリックできる場所がなく、飛べる記事もない。

報道機関のフィードなのに、リンク先がないということはまず考えられないわけで、BBCのツイートを見慣れていない人でもここで違和感を覚えるかもしれない。

それでいい。

そしてこの捏造画像の偽物ツイート、本文が少々長すぎて、Twitterの制限文字数を超過している。これは「仕事が雑」ということではなく、意図的にそうしてあるのだと思う。これならば、何かあっても、「パロディを意図していた。十分に慎重に見れば偽物だとわかるので、こんなものを信じた人がいたら、信じるほうが悪い」と主張することができるから。

というわけで、この例のように、報道機関のフィードのように見えるけれど、どこにも記事リンクがないようなものがあったら、そのツイートにリンクがないことの合理的な理由がある場合*1を除いては、「これは十中八九偽物だろうなあ」と思っておいてよい。

それを踏まえておくだけでも、偽情報に踊らされる可能性はかなり減るのではないかと思う。

 

おまけ。フランス大統領選挙決選投票前になぜか英語圏で爆発的に流行っているマクロン写真ミーム

これとかは「なるほど、ハハハ」なのだが、次のは痛い。

「本の企画提案」→「執筆」→「宣伝」→「印税」。

写真は順番を入れ替えている人もいる。

「記事の企画提案」→「取材」→「執筆」→「記事書きましたっていうツイート」。

写真そのものを入れ替えてあるものも。

くつろいで……!!

 

北アイルランド系はすごいよ。まずBrexit farce: 

国際条約グッドフライデー合意の生活と意見。

こちらも選挙間近(5月5日)。

 

 

 

 

*1:スレッドで投稿していて、最初のものにはURLがついているが、他のはない、という場合など。また「速報」で記事がまだ書かれていない段階のものも、これに当てはまる。

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