今回の実例はBBC記事の見出しから。
《to + 動詞の原形》のto不定詞は中学校で習うが、「なんとか用法」という用語も含め、なんかいろいろと情報量が多いので、消化しきれず何となく苦手という意識を持ってしまう人が少なくない。
特に消化しきれなくなるのが《to不定詞の副詞的用法》で、やたらと表すものが多い(意味が多い)。英語について、英文とその意味から入るのではなく、英文法用語から入ってしまうことが習慣化されている人の場合は、よけいに負担感は大きくなるが*1、具体的な文例を見て、ひとつひとつ納得しながら把握してしまうことが重要である。
《to不定詞の副詞的用法》で最もよく用いられる(ありふれている)のが、《目的》を表す用法だ。「~するために」という意味になる。
I woke up at four to catch the first train.
(始発電車に乗るために、4時に起きた)
これは文意をはっきりさせるために、in order to do ~やso as to do ~という形になることも多い。見た目は長くなるが、文意は変わらない。
I woke up at four in order to catch the first train.
次によく遭遇するのが、《感情の原因》を表す用法だ。happyやsadなど《感情》を表す形容詞とともに用いて「~して…だ」という意味になる。
I was happy to see my childhood friends.
(子供時代の友人たちに会って、私はうれしかった)
似たようなものに《判断の根拠・理由》を表す用法がある。日本語にすれば《感情の原因》とよく似ていて「~して…だ」となるが、一緒に使う形容詞がlucky, crazyなど、話し手が何かについて「…だ」と判断しているときに用いる。また、形容詞だけでなく、a foolなど名詞が来ることもある。
I was lucky to get to know the famous writer.
(その著名な作家と知り合いになれて、私は幸運だった)
I was a fool to believe him.
(あんな男のことを信じるなんて、私は愚か者だった)
そして4番目の用法として重要なのが、今回実例として見る《結果》を表す用法である。「…して、その結果(そして)~する」という意味を表す。この用法は決まりきった例文でしか説明されないことが多いが、実際、英語の文章に出てくるときもだいたい決まりきった形で出てくる。
I woke up to find it was raining.
(目が覚めて、(その結果)雨が降っているのがわかった)
My grandfather lived to be ninety years old.
(私の祖父は生きて、その結果、90歳になった=祖父は90歳まで生きた)
《to不定詞の副詞的用法》には、これらの4つの用法のほかにも、特定の形容詞とペアになった形(be ready to do ~など)や、《条件》を表す用法などもあるが、長文読解などで特に重要な基礎力となるのはこれらの4つの方法である。まずはこれらを押さえてしまおう。特に今度の冬に受験を控えている人でここがあやふやな人は、夏休みが終わる前にここをしっかり押さえてしまうこと。
……と、最初に文法解説をしてしまったが、今回実例として見る記事はこちら:
*1:参考書などで文法用語が目次の項目になっているときに、目次の項目を最初に理解しようとする人がいるが、それは失敗の元。目次の項目は「レッテル」と考え、重要な中身を先に見るようにしよう。調味料のビンに貼ってあるレッテルを見てもどんな味だかわからないときに、ちょっとなめてみるだろう。そういう感覚で、レッテル(項目)はまずぱっと見るだけ見て、深く追求せず、中身(解説されている英文)をちゃんと見るとよい。