Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

分詞の形容詞的用法(前置修飾), accuse ~ of -ing, denounce A of B など(イスラエルが、パレスチナNGO6団体を非合法化)

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今回の実例は、報道記事から。

先週、中国政府の国家安全維持法により、事実上活動不可能になるアムネスティ・インターナショナルが、香港のオフィスを閉鎖するということについての文章を2度にわたって取り上げたが(その1、およびその2)、同じころ、この件ほど注目を集めることなく、同質のことが中東で起きていた。

イスラエル政府が、パレスチナ人の人権について活動するNGO6団体を、「テロ対策」という理由(「口実」と呼びたい)で事実上非合法化したのである。イスラエル政府側の根拠は、「これらの団体はテロ組織であるPFLP (the Popular Front for the Liberation of Palestine) の支配を受けているから」というもので、PFLPがテロ組織であるかどうかはとりあえず問わないとしても(個人的には、そこは問わなくてよいと考えている)、「支配(『支援』ですらなく『支配』)を受けている」という部分についてイスラエル政府が何も証拠を示していないことは、どの立場からもツッコミが入って当然のことであるにもかかわらず*1、ツッコミが入るどころか、まともに取り上げるメディアがめちゃくちゃ少ないというのが現状である。個人的には、中東に関しては、BBCなど英語圏の大手メディアではなく、イスラエルの新聞の英語版や、イスラエルの人権団体、パレスチナの英語メディアなどのTwitterアカウントのフィードがメインの情報源となって久しいのだが、今回はドイツの国際放送局、DWのフィード経由でDWの記事を見てみよう。記事はこちら: 

www.dw.com

DW (Deutche Welle) については、以前ざっくりと説明をしたので、そちらをご参照いただきたい。

実例として見るのは、最初の部分: 

f:id:nofrills:20211101180041j:plain

https://www.dw.com/en/israel-outlaws-palestinian-ngos-citing-anti-terrorism-laws/a-59600459

書き出しのパラグラフが太字になっているのは、これが《リード文》だから。報道記事の《リード文》は、その記事が伝えている内容の中で最も重要な部分(この記事の焦点となっている部分)を端的にまとめて書いた文で、具体性に乏しくてわかりにくいこともあるが、その場合も臆せず、記事本文を読み進めることで内容が把握できるようになっている。(それでも内容が把握できない場合は、報道記事を読むには文法力か単語力が足りていないと考えられる。)

この記事の場合、リード文は2文(2センテンス)で構成されている。

The Israeli Defense Ministry accused the six now outlawed groups of being "controlled" by the Popular Front for the Liberation of Palestine. A swift outcry denounced the move as politically motivated.

最初の文、下線で示した《accuse ~ of -ing》は一種の熟語として教わっている人も多いかと思うが、「~を…していることによってaccuseする」の意味。前置詞にofを使うこと、そのあとは動名詞の-ingになっていることがポイントだ。

また、accuseという英単語は、文脈によって、「告発する」「告訴する」と、法的手段を講じたことを意味することもあれば、単に「非難する」「責める」の意味になることもある。初見の記事の場合、そのどちらであるかは記事の先の方を読まないと判断できないことがほとんどで、リード文の段階では訳語は確定しようがないから、そのままaccuseという語のままで仮置きしておいて、「非難した」という系統の意味ということだけ把握して先に読み進むのがよいだろう。

太字で示した "outlawed" は《過去分詞》で、これは1語で後続の名詞を修飾する《前置修飾》の形。

  If you’re unlucky enough to suffer a delayed flight, ...*2

  (もしあなたが不運にも、遅延便〔遅延させられた便、遅延した便〕の影響を被ったなら、……)

このような過去分詞は、青字で示した "now" のような《時間・タイミング》を表す修飾語句(副詞)を伴うことがときどきあり、その場合、「名詞を修飾する分詞が単独でなく複数の語からなる語句となっている場合は、名詞の前ではなく後に置いて後置修飾する」という原則通りにはならず、単に過去分詞の前に副詞を添えて、名詞の前に置く、ということが見られる。ちょうど、veryという副詞が形容詞の前について、"a very cute kitty" (とってもかわいらしい子猫)のように名詞の前の修飾語が長くなっているのと同じ現象と考えておくと、頭の中が整理しやすいだろう。

  Rokita added that if you believe you purchased a recently recalled product, stop using it.*3

  (ロキタ社は、最近リコールされた製品を購入したと思う人は、その製品の使用を見合わせてほしいと付け加えた)

というわけで、第1文は、「イスラエル国防相は、いまや非合法化された6つの集団が、PFLPによって『支配』されていると非難した」という内容になる。

第2文: 

A swift outcry denounced the move as politically motivated.

この文、述語動詞がどれか、一読しただけでわかっただろうか。

答えは "denounced" である。文構造は: 

  A swift outcry = 主語 (S) 

  denounced = 述語動詞 (V) 

  the move = 目的語 (O) 

  as politically motivated.

《denounce A as B》は「AをBとして非難する」の意味。よってこの文は、「すぐさま起きた抗議が、この動きを、政治的な動機付けがされたものとして非難した」と直訳されるが、これでは日本語になってないから、「これにはすぐに抗議の声が上がり、政治的動機での決定だと非難が起きている」みたいな感じで噛み砕いた日本語にしておくとよいだろう。

 

その次のパラグラフ(リード文の次の文で、すなわち、記事本文の書き出し): 

Israel's Defense Ministry on Friday listed six Palestinian NGOs as "terrorist organizations," a move that makes them vulnerable to raids and arrests by Israeli security forces.

太字にした "as" は、すぐ上で見た《denounce A as B》のasと同じで、「~として」の意味で《前置詞》(直後がS+Vの構造になっていないことから、接続詞ではないということが論理的にわかるだろう)。

'"terrorist organizations," a move that ...' の部分は《同格》の表現が使われている。コンマのあとの "a move" は、コンマの前までの内容を受けている。

下線で示した "that" は《関係代名詞》でここでは《主格》。この関係代名詞節は《make + O + C》の構造(SVOCの文型)で、Oが "them", Cが "vulnerable to raids and arrests by Israeli security forces" となっている。

"vulnerable" という語は、報道記事などでは本当によく見る日常語であるが、「翻訳しろ」と言われたらけっこう難しい。日本語と1対1では対応していない。意味としては、「~されて、困った立場に置かれる」「~されたら抵抗する術がない」ということで、それを端的に日本語で表すと「攻撃されやすい」とか「弱い」、「弱点がある」となる。

これが人について限定用法(名詞の前に置いて名詞を修飾する用法)で用いられるときは、一種の婉曲語法として学習障害精神障害などを抱える人のことを言う(例: Crown lawyer Charles McCreanor QC said the victim was a vulnerable adult who had a known fear of soldiers and was liable to run from patrols.)。

というわけでこの文の文意は、「イスラエル国防省は、金曜、パレスチナのNGO6団体を『テロ組織』と特定したが、この動きは、これらの団体を、イスラエル治安当局による捜索や逮捕に対して、抵抗する術のない弱い立場に追いやるものである」ということになる。

 

※ちょっとオーバーしちゃった。4160字

 

 

 

*1:これはまるで、2003年イラク戦争前の「サダムの大量破壊兵器」のロジックだが、そういう疑問をTwitterなどで呈すると、知らない人から怒涛のような「ご説明」を食らうことになる場合もある。そういう目にあわされてもびっくりしないで冷静にしていればよいと思うが、心の準備のため、こちらなど見ておくともろもろ役立つだろう。ちなみに英語だけでなく日本語でも来るので、「日本語で書いてれば大丈夫だろう」というふうにタカをくくらないほうがいい。対策としては、常にソースをつけて書くこと。それをすることで「ご説明」の粘着度が軽減される。

*2:英文出典: 

https://www.flightright.com/your-rights/flight-delay 

*3:英文出典: https://fox59.com/news/indiana-promotes-consumer-education-with-recently-recalled-product-list/